井田 寛子 様 【NHKニュースウオッチ9 気象キャスター】

2013.01.31

プロフィール
名前:井田 寛子(いだ ひろこ)
NHKニュースウオッチ9 気象キャスター
1978年 埼玉県春日部市出身
1997年 淑徳与野高等学校卒業
2001年 筑波大学第一学群自然学類化学専攻卒業、製薬会社入社
2002年 NHK静岡放送局へ入局、キャスター・リポーターを務める
2006年 同首都圏放送センターへ移籍、リポーター・ディレクターを務める
      この間に気象予報士を取得
2008年 同大阪放送局へ移籍、キャスター・気象予報士を兼務
2011年 同放送センターへ移籍、「NHKニュースウオッチ9」にて気象キャスターとして出演中

◆2011年4月よりNHKニュースウオッチ9で気象コーナーを担当されています。

放送本番は夜9時40分頃ですが、お昼頃には出社します。毎日の4分半の出演に向けて準備に費やす時間がほとんどです。始めにする仕事は天気図の解析。天気の見通しを立てて今日一番何を伝えたいかを考えます。ポイントを絞ったら、気象の原稿を書くと共に、どんな画面を使ったら分かりやすいか、自分で図案を作成したり、季節の映像は何を使うかなどを検討します。CGを作るアートディレクターさんや映像を作る編集さんと打ち合わせをしながら進めます。生放送ですから、持ち時間4分半を長くしたり短くしたり臨機応変に対応できる材料を考えておくことも大切です。
穏やかな天気のときは全国各地の季節映像から入りますが、台風や豪雪など、災害が発生するような荒れた天気のときには番組編成も大きく変わり、出番も多くなります。最新の資料と刻々と変わる実況を照らし合わせながら、正確な情報を迅速に伝えることが求められます。気象キャスターの一番の使命は気象災害から人の命を守ることです。災害報道のときこそ、自分に課せられた責任を大きく感じる瞬間です。

◆大阪放送局時代も「おはよう関西」などで気象情報を担当されていましたので元々気象専門なのかと思っておりましたが、NHK静岡放送局へはキャスターとして入局されたそうですね。

NHK静岡放送局に入った当時は、とにかく放送の仕事がしたいという一心でした。情報番組のキャスターを担当していて、料理や音楽、体操、歴史のコーナーまで様々な分野を経験しました。月日を重ねるごとに、放送で「何を」伝えたいのか考えるようになりました。もともと自然が好きだということ、そして、台風など自然災害の報道を目の当たりにするなかで、「災害報道」に携わりたいと思うようになりました。災害報道に必要とされる力を付けるために自分にできることは何かを考えるなか、気象予報士の資格を取ることは将来役に立つと確信しました。仕事をしながら勉強を始め、気象予報士・兼キャスターとして大阪局で新たなスタートを切りました。

 

◆井田さんは筑波大学自然学類化学専攻だったのですね。そして新卒で製薬会社に就職されました。

本当は自然の中でも特に生き物が好きでしたので、学部でいう一番興味のあったところは生物だったのだと思います。高校の頃は実は獣医を目指していました。好きな分野と得意な分野は必ずしも直結せず、私は生物も不得意ではありませんでしたが、化学はもっと得意でした。これは高校の先生の影響が大きいと思います。受験科目は化学を選び、そのまま大学でも化学専攻に進みました。地球科学にも興味がありましたから、4年生のときは宇宙化学研究室という、化学と地球科学を両方織り交ぜたような研究室を選びました。大学のときはテレビの科学番組が好きで、もっと多くの人にこの楽しさを伝えたいとテレビ局の就職を望みましたが、うまくいきませんでした。もう少し社会に出て化学のことを勉強しなければいけないということかなと、製薬会社に入社しました。

 

◆筑波大学時代は陸上の同好会に入られていたとお聞きしました。

筑波大学で得たことは、自然や仲間と向き合う心です。緑に囲まれ、空が広く、星がきれいな環境。ランニングを趣味にしていた私は、この空気のなかをぜひ走りたいと、陸上同好会に入りました。四季折々、表情を変える木々の様子や筑波山を臨んで走る日々は、一層自然への興味を深めることになりました。そして、全国から集まった仲間たち。自然学類を専攻する皆は、それぞれ明確な目的を持った人ばかりでした。筑波大学は都心と比べて娯楽が多くない分、仲間と過ごす時間が長く、家族のようでした。今でも絆は深く、これからも繋がり続けるであろう大切なご縁をいただきました。

 

◆卒業後10年経った今でも陸上を続けていらっしゃるそうですね。マラソンにも出場しているとお聞きしましたが。

ランニングは続けています。自然のなかを走ることで、気付くことがたくさんあります。その日の気温や風を体感したり、草花の変化を発見したり、町歩く人の服装から情報を得ることもできます。出勤前に走ることが多いですが、今日の放送ではどういう話をしようかなと、イメージを膨らませる大切な時間でもあります。今でも度々、市民マラソンなどの大会に挑戦しています。自然が好きなことで共通する趣味は野菜ソムリエやスキューバダイビングです。野菜の生育も天気によって大きく左右されますし、陸と同じように海にも四季があります。生活の中で気象に繋がることはとても多く、興味は広がるばかりです。

 

◆筑波大学では将来の社会を背負ってたつ優秀な人材を各界に送り出すための学生支援の一助として、筑波大学基金“TSUKUBA FUTURESHIP”を平成22年4月より運営しております。最後に現在気象キャスターとしてご活躍されている井田様から、将来を担う学生に対してメッセージをお願いします。

卒業してから思うこと。大学の4年間は、人生のなかでとても恵まれた時間です。大学の頃から自分の将来像をしっかり持っていたり、仕事のイメージができている人の方が少ないと思います。私も同じで、そんな自分に悩むこともありました。しかし、将来の夢というのは、在学中も、そして社会人になってからも、変わり続けるものです。環境が変わったり人との出会いを繰り返し生きていくわけですから、当然のことです。
会社という組織に入って変わることは課せられる責任の大きさです。看板を背負ってお金をもらうというのはそういうことです。人を傷つける行動は学生でも当然許されませんが、多くのことは自由です。思い切りすぎるくらいの大きな夢に向かって挑戦し、行動し、学び、遊び、そしてたくさんの仲間を作っていただきたいです。ひとつの職業に就くと、他の業界の人とはなかなか出会うチャンスや時間がありません。しかし、大学のネットワークは非常に広い分野に渡り、社会人になっても助けられることが必ずあるものです。今のうちに人脈を広げ、人との絆を深めておいてください。

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