秋川 正 様 【株式会社秋川牧園代表取締役社長】

2013.07.24

プロフィール
名前:秋川 正(あきかわ ただし)
株式会社秋川牧園代表取締役社長
1966年 山口県山口市出身
1989年 筑波大学第三学群社会工学類卒業、株式会社秋川牧園入社、取締役就任
1993年 常務取締役就任
1997年 株式会社秋川牧園が店頭証券市場(JASDAQ)に株式公開
2004年 専務取締役就任
2005年 代表取締役社長就任

筑波大学を卒業したのが1989(平成元)年。そして卒業後、私はストレートで父の経営する株式会社秋川牧園に入社しました。

【秋川牧園全景】
【秋川牧園全景】

秋川牧園は、私の父が昭和47年に健康な卵づくりから創業したものです。現在の生産品目は、卵、鶏肉、牛乳、豚肉、牛肉、野菜、加工品とかなり幅が広いのですが、そのコンセプトは全て健康で安全性の高いものばかりです。秋川牧園の食は、全国のこだわり型の生協や食の宅配会社などを通して食べていただいていますが、最近では直販の宅配サービス(秋川牧園の宅配サービス)にも力を入れています。

【秋川牧園の生産品】
【秋川牧園の生産品】

秋川牧園のルーツは、私の祖父、秋川房太郎が昭和初期に当時の満州の地に拓いた秋川農園にまで遡ります。当時からの祖父の口癖は「口に入るものは間違っていてはいけない」というもの。さすがに食の安全性という概念はありませんでしたが、そのころから「消費者のためにつくる」という考えをもち、最終的にはりんごを中心とした理想的な総合農園が出来上がっていました。
企業体という面から見ると私は2代目ですが、理念ということでは3代目であるといえそうです。

【祖父秋川房太郎(手前)と当時の満州の秋川農園】
【祖父秋川房太郎(手前)と当時の満州の秋川農園】

さて、そんな私が筑波大学の社会工学類を選んだのは、「大学で学ぶことはほとんど社会では役に立たない。地元の大学で十分。」という父の考えに、さすがにそれは違うだろうとの思いでいたところ、筑波大学のパンフレットにある「問題解決志向」という言葉が目に飛び込んできたからでした。
実際に入学して実感したのは、先生の素晴らしさでした。他の大学の授業を受けたことがない私に正しく判断できようはずはないのですが、当時から筑波大学の先生はレベルが高いぞと勝手に思っています。
一方、文系から入った私は、半分は理系の学生である社会工学類での数学の授業やプログラミング実習には泣かされました。ごく簡単なプログラムでもエラーとなってしまう。自分の頭の悪さに嫌気がさしていました。でも論理的な思考方法の実習ととらえれば、とても効果的でよかったと今では思っています。

振り返ると大学時代の良いところは、金はないが時間はたっぷりあるところでしょう。
バンドをしたり、海外旅行をしたり。「グルマン」というレストランで皿洗いのアルバイトを続けていましたが、オーダーが重なった時の厨房の戦場のような雰囲気は独特のものでした。また「アクアク」という音楽とアートとお酒のお店によく出入りしていました。そこの人たちとケーブルテレビの番組をつくったり、ミュージシャンのコンサートの企画に参加したり。今の仕事とはあまり関係はないのでしょうが、クリエイティブということの楽しさを知った気がします。

私の大学時代を通してのメインテーマは、「社会や生き方はこれからどうあるべきか?」というものでした。当時、私は秋川牧園を通して知った有機農業運動の考え方に共感していました。その考え方は、今までのモノ中心で自然や命を大切にしない価値観に対してのアンチといえるものです。また、ポストモダンなんて言葉も流行っていて、既存の価値観を相対化して、真の豊かさとは何かを考える、そんな機運の時代でもありました。
そして、そのことを考え続けて到達したこれからのあり方と、その時点で秋川牧園が目指していたことは、かなり重なっていたのです。
私は事業を通して社会に貢献したい、社会を変えていきたいと思っていましたが、その可能性をより大きくする判断とは何かを考えた時、それは秋川牧園の経営に参加する、ということでした。
もちろん卒業後に秋川牧園にストレートには戻らず、他社で経験を積ませていただくという選択肢もあったのでしょうが、当時の会社の事情もあって、最終的にそのまま入社することを決めました。

【秋川牧園ロゴ】
【秋川牧園ロゴ】

社長となって8年が経ちました。秋川牧園では「地域循環型・農ある豊かな暮らしづくり」というビジョンを掲げています。私は今の社会とはいろんな意味で持続可能ではないと考えています。でも日本人は賢いので、きっといろんな人が立ち上がって変革を進めていき、何十年か100年後には、ずいぶんとよい社会に変わっていくのでしょう。私はその変革に、元気な農業と健康な食づくりということをベースにして、しっかりと参加していきたいのです。

【牛乳の生産農場であるむつみ牧場】
【牛乳の生産農場であるむつみ牧場】

◆今の筑波大学生へのメッセージ
今、多くの企業が求めているのは「自ら考え自ら行動できる人材」だと思います。リーダーシップのある人ともいえるのでしょうが、そのような人に一朝一夕になることは不可能です。極端に言えば、生まれたその日からの積み重ねで決まっていくように思います。
だからこそ大学時代の1日1日は大切です。物事に変に距離を置くスタンスではなくて、これはということに対して深くコミットしていってほしいと思います。他人事ではなく、自分事としてそのことを考え、行動する。当然失敗もするけど、それは将来の財産になるはずです。

◆「筑波大学基金 TSUKUBA FUTURESHIP」への期待
結果として私は筑波大学を選んでよかったと思っています。そして、母校にはこれからもよりよい大学であってほしいと思います。筑波大学基金は、意欲ある学生にとって、筑波大学が今まで以上にチャレンジの場となるための様々な取り組みを、多くの人の参加で進めようとするものであり、とても素晴らしい理念、仕組みだと思っています。

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