卒業して何年も経ってから、あるいはいまでも、筑波の夢をみます。
体育の出席回数が足りない!とか、そんな夢ばっかりですけど。(笑)
初期の卒業生だけでなく、もっともっと後輩たちも、きっとそうなのではないか
なと思います。筑波って、そういう「濃密な」体験なんです。そこは、都会生活
の中に拡散された東京などの学生生活とは違います。いい意味でも、わるい意味
でも。振り返って、きっとその体験の重さを感じます。もし、筑波の社会の中で
疎外されたり挫折したりしたら、それは辛いに違いない。仲間たちで、そこは敏
感にデリケートに感じ取ってほしいと思います。逆に、そういう親密な交友関係
が結べるところが、筑波生の一生の財産になったりするわけですし。濃密さの中
にも、絶対におおらかさと自由は大切にしてほしいですね。
そんなこの大学のためのコピーをちょっとつくってみました。
泣きたい夜、
こんな近くに友だちのいる大学は、ほかにない。
IMAGINE THE FUTURE. 筑波大学
大丈夫。私の仲間の、いつもぎりぎり滑り込み、落ちこぼれ的友人だって、いま
は立派な校長先生になったりしてますから。
大学時代の体験が現在の仕事やネットワークに直接反映されている、ということ
はあまりいえません。仕事の種類にもよるでしょうか。個人的な交友関係ではな
い、卒業後のネットワークというのは実際のところ弱い部分だと思う。そこをき
ちんと再構築しようというのは、今回のブランディングの大きな狙いのひとつで
もあるでしょう。実利的なことばかりでなく、ぜひ、OBOGも、在学生も楽し
んで参加できるようなかたちをつくりたいですよね。
シンポジウムでの講演をきっかけに「大学のブランディング」について相談を受
けました。仕事としている分野でもありますので、それではと基本コンセプトや
スローガン、基金のネーミング、そしてメッセージソングを提案しました。まだ
まだこれは第一歩、ようやく船出した段階です。大学のブランディングについて
は以下のコラムで採り上げましたので、こちらをお読みください。
毎日新聞社広告局発行「SPACE」2010.6. 巻頭コラム
もちろん、大切なのは大学自身の動きです。私たちはその応援団です。
学生たち、教職員のみなさんとの共有、関心と行動も必要不可欠です。まさに
現在形はみなさんですから。未来形もそこから生まれるのですから。
私たちはこれから筑波にも行って、何を共有し、何をどんなかたちで発信して
いくか、とことん語り合いたいと考えています。とりあえず、7月上旬に山田
学長にも出席いただいてシンポジウムをもつことになりました。シンポジウム
というより、もっと距離の近い膝詰め談議にしたいと思います。
その先には、なるべく具体的な発信、社会へのコミュニケーションになるよう
なものを学生や関係者とつくりあげるワークショップを想定しています。
さらに、私たちの夢があります。すべてのOBOGが一挙に、家族連れでも参
加できる、里帰り、学園帰りの一日。クラスメイトやサークルの歴代先輩後輩、
在校生とも交流できるビッグイベント。卒業以来の再訪、はじめてTXに乗る
というひとも多いでしょう。あの「ウッドストック」のみたいな大きな集まり。
仮称、TSUKUBASTOCK。この話をすると、いろんなOBOGが瞳をきらりと
させるのですよ、ほんとうに。実現したいですねえ。
「大学のブランディング」は、もはや世の趨勢です。
私立大学にとどまりません。東京大学、横浜国立大学あたりは、筑波よりずっ
と先行しています。ユニバーシティ・アイデンティティ。それは自己確認と社
会への発信です。先日の朝日新聞茨城版では、このプロジェクトを採り上げて
「脱・地味な筑波大」という見出しを掲げました。どう思います?(笑)
たとえば他大学にいる友人の話では、筑波の海外での評価は非常に高い。特に
中国など東アジアの教育界ではとても評価されていると聞きました。ほんとう
にいいところ、誇るべきものがたくさんあるはずです。
国立大学も競争時代に入りました。私の実家はあまり裕福ではありませんでし
たし、その意味でも環境の整った筑波大学はたいへん助かりました。留学生た
ちにも暖かい大学であってほしい。いろんな意味で、これからOBOGや関係
者の支援が重要になってくると思います。かつて私たちを乗せたその「船」の
前途を見守りたい。手助けをしたい。そんな気持ちをこめて「FUTURESHIP」
と、この大学基金もネーミングしました。若者たち、よき航海を、未来へ。
いままでは、卒業すれば大学と私たちのつながりはほとんどなかった。大学と
しても私たちのことを忘れず、その「絆」を再構築して、活用していってほし
いと切に思っています。そのうえで、あらためてここに、すべてのOBOGや
関係者のみなさんからのご支援、ご協力を呼びかけたいと思います。