学生時代、貧乏な一人暮らしだったので(笑)、掛け持ちで沢山のアルバイトをしていたのですが、そのうちの一つが西武百貨店筑波店でのCATV番 組の制作アルバイトでした。素人ながら、社員の方々と打ち合わせをしながらメディア作りに関わらせていただく過程が面白いなぁと思っていたんです。そんな とき、当時NTTが「次世代に向けて、マルチメディア人材を求む」と大きく掲げていたのに惹かれ、「これだ!」と就職先を決めました。私が就職した 1996年は、ちょうどWindows95が上陸した翌年。「これからインターネットで新しいメディアがどんどんはじまる」、「次はマルチメディアの時代 だ」という空気感があったんです。
とはいえ、実は学生時代は、パソコンにもほぼ触れたことがない完全なデジタル音痴……。「経験はないけれど、これからの新しいメディアを創ってみ たい!!」と採用面談でアピールし続け、幸運にも希望の部署に配属してもらえました。オンラインショッピングや電子マネーなど、当時実験的にはじまってい たプロジェクトで、新米ながらマーケティングの仕事や企画の仕事をとても面白くさせていただいて、必死で頑張りました。「粟飯原さんって、会社に住んでる んじゃない(笑)?」って言われるくらい、足りない能力を情熱でカバーしていましたね。
そんな風に3〜4年を過ごすうちに、じわじわと、自分のなかで「インフラではなく、もっとコンテンツに近いサービスをやりたい」という気持ちが高 まってきました。そこでリクルートに転職。のちには2001年にベンチャーとしてスタートしたポータルサイト「All About」で、新しいインターネットメディア作りに奔走していました。インターネットメディアの面白いところは、ユーザーの反応がリアルタイムでわかる ところ。次々と企画を立ち上げてはアクセス数に一喜一憂し、「新しいメディアを創る」という醍醐味に夢中になっていました。
独立したのは、「起業したい!」という想いよりも、「このサービスをやってみたい」というサービスのアイデアと出会ったから。「アイデアを実現し てみたい」という気持ちが抑えられなくなり、思い切って20代最後の年、会社を辞めて、“お取り寄せ”の口コミポータルサイト、「おとりよせネット」(http://www.otoriyose.net/)を立ち上げました。
基本的には、自分自身が「こんなサービスがあったらいいなぁ」と、等身大のユーザー視点でそのニーズに共感できるサービスをこれまで立ち上げてき ました。その結果、同じように共感いただける女性ユーザーの方々に多く集まっていただき、2012年の今では、おかげさまで月間100万人以上の女性ユー ザーの方々に訪れていただいています。
サイトの運営時には、ユーザーの方々から日々寄せられる意見や反応、そしてもちろん、編集部メンバーのそれぞれのアイデアをぶつけあって、やるこ とを決めています。「寒い時期には女子会でお洒落な鍋をお取り寄せしたいよね」とか、「最近、ランニングが流行ってるよね」という働く女性として感じる視 点・発見が、企画を動かす原動力ですね。
私が学生時代には、バブルもとっくの昔にはじけて、就職氷河期でもあったので、周りはみんな結構真面目にアルバイトしていた記憶があります。いま みたいに「インターン」という制度はないので、企業で働くというより、ほんとうに飲食店だったり家庭教師だったり。個人的には、アルバイトとサークルでほ ぼスケジュールが一杯、授業の記憶はほとんどないかも(笑)。あまり勤勉な学生ではありませんでしたね、、、、。
ネット環境でいえば、まだ携帯電話も普及していなかったので、パソコンなんて学校でたまに見かけるだけ……。でも、だからこそ、これから普及する という「インターネット」や「マルチメディア」という言葉に強く惹かれたのかもしれません。得体のしれない、新しいシステム、ネットワークが海の向こうか らやってくるんだ、というような感じでしょうか。
「女性の立場」という観点だと、いまの学生さんたちとほぼ変わらない、男女平等の恵まれた時代で生きてきたと思います。
東日本大震災が起きた後、「筑波大学基金」や「筑波大学義援金」が被災した学生に対しても大切な支援の役割を果たされたと伺い、素晴らしい活動だ と感銘を受けました。そうした活動はもちろん、筑波大生がより広い視野で海外や日本国内で就学経験が持てる機会だったり、もっとOB・OGはじめ社会で活 躍している企業人・企業と繋がっていく仕組み作りにとても期待しています。
いまの筑波大生へのメッセージ……自身を振り返るならば、かけがえのない4年間、筑波という土地だからこそ、ぎゅーっと密に付き合える友人たちと の出会いは、絶対にその後の人生を豊かにしてくれます! 卒業して10年以上経っても、いまだに筑波の同期、先輩、後輩たちに、公私ともに刺激を受け、支 えてもらっていますが、それもあの平砂寮にいたからこそ、と思っています(笑)
あとは、情報であふれかえっていない土地だからこそ、自分自身の感性を研ぐことができることも筑波の良さではないでしょうか。日々自分が目の前の物事に出会って素直に感じること、考えることを、大事にして過ごしていってほしいなぁと思います。
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